寝ながらなにか音を聞くだけで、翌日には全部が頭に入っている!
そんな魔法のようなことがあれば、テスト前でもぐっすり寝れるのになぁ~と思ったことはないでしょうか?
音を科学して、音で人を幸せにするサウンドフィリックとしては、効果があるならぜひとも使いたい!というわけで、本日は睡眠学習の効果について書いてみようと思います。
そもそも睡眠状態が普通の状態と違うのは、「見えてない」こと。
人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の脳への入力の強さの割合というのがいろいろな研究で調べられているのですが、研究によって多少の数値の違いはあるけれど、最も大きいのは「視覚」で、80~90%程度あると言われています。
ですので、目で見ることに脳は影響を受けがちです。
音は聞こえていなかったので(意識できていなかったけど)、目で飛んでいる飛行機をみつけたら、急に飛行機の音が聞こえるようになった、、といったような経験をされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
というわけで、起きているときは視覚からの情報に頼りがちな脳も、一旦、視覚からの入力がなくなったら、聴覚が普段より敏感になって、脳への刺激も強くなるのでは!?という期待が膨らみます。
『寝ているときの脳は休んでるから、音を含めて、どんな刺激もシャットアウトしてるんじゃない?』
・・・・確かに。
『だから、きっと睡眠学習は効果ないよ』
・・・本当にそうなのでしょうか(期待を込めて)
調べてみました。
睡眠中の音は脳にどんな影響を与えてる?
否定的な内容の報告や研究も多かった中、なんとか期待を込めて、論文を探し続けたところ
”Boosting Vocabulary Learning by Verbal Cueing During Sleep”( Thomas Schreiner and Bjorn Reach, Cerebral Cortex, November 2015, 25:4169-4179)という論文を発見。
よさそうな(効果が期待できそうな)タイトルなので読み進めてみました。
この論文のファーストオーサーはスイス大学の心理学研究所の先生なのですが、外国語習得に睡眠時の学習がもたらす効果について、68人の健康で右利きの男女を被験者にして実験を行われたようです。
被験者はそれぞれ、ドイツ語を母語として、オランダ語の学習経験がない人であり、17人ずつ4グループに分けて、120語のあたらしいオランダ語の習得に挑戦いたしました。
その結果、どうやら、睡眠中に記憶の整理と定着が行われる際に、効果的に音による刺激を与えると(勉強中に聞いた音を刺激として入れると)何もせず、勉強をより長い時間し続けた場合よりも、より記憶できることが明らかになりました!
まとめ
ただ単純に、全く知らないこと(勉強もしていないこと)を睡眠時にきくだけで、翌朝目覚めたらすべて覚えていて、いきなり天才になっていた!!!という夢のような効果はなく、あくまでもちゃんと勉強して、ノンレム睡眠中に適切に(脳の整理を手伝えるような状態で)音の刺激を与えていると、効果がでる。ということで、勉強は避けて通れないようです。
音の他には、においなどの刺激も記憶を呼び起こしたりするのによいようです。
明日はテストですが、記憶を定着させて使えるようにするためには睡眠も大事、ということがとてもよく分かったので、今、勉強中にかけていた音楽をかけつつ、寝てみることにします。
ってBGMかけながらの勉強はよかったのだろうか!?
その研究はまた別の機会に!
音って使い方次第で、いろいろな効果があって、本当に面白いですね。