言語力と音楽の関係

音や聞こえの研究をされておられる方から、”インターナショナルスクールの合唱部は強い傾向があるように思う”と言われたことがあります。

あくまでもその方の所感であり、その真偽について示すような論文は見つけることができませんでしたが、言葉も音であり、各言語にはそれぞれ細かい音や音色や表現力に違いがあることを考えると、合唱のように自分の歌声だけでなく、周りの音や雰囲気をうまく合わせる必要がある場合には、微妙な音の波形の違いを感じ取り、修正する能力が役に立つような気がするのですが、ナルホド、それは日ごろから(一応、学校内の共通言語は英語ではあるものの)教室で、廊下で、そして友人宅でそれぞれの国のお言葉や音楽に触れているインター生にとっては、とても馴染みのあることなのかと。

その逆の、”小さいころから音楽を聴いている(楽器の練習をしている)と言語能力が高く、英語(外国語)がうまくなりやすい”、というような教育神話も聞いたことがあるので、エビデンス重視のサウンドフィリックとしては、噂の真相!?を示す客観的なデータを探してみました。

音楽教育と言語習得に関する噂の真相!?

ご紹介するのは、” Effect of Music Training on Promoting Preliteracy Skills: Preliminary Causal Evidence”(Sylvain Moreno et.al, Music Perception volume 29, issue 2, pp. 165–172. )という論文です。

Moreno先生らのご研究では、無作為に選んだ60人の子供たちに対して、20日間音楽か美術(視覚的なもの)のいずれかのトレーニングプログラムを実施したところ、プログラム実施前と後ではいずれのトレーニングでも後の方がよいスコアを記録したのですが、音楽でトレーニングした子たちの方が、視覚型学習(見て覚える)と聴覚型学習(聞いて覚える)のいずれの能力もかなりの効果を上げていることが明らかになりました。その理由について先生の考察では、” . It may also be that music training helps improve children’s general ability to learn arbitrary mappings between symbols and concepts by enhancing general memory ability ”と書かれており、(もちろんこの研究だけでは確かなことは言えないけど)音楽のトレーニングは子供の記憶能力を向上させることで記号とコンセプトのマッピング能力を向上させるのに役立っているのではないか、と。

ナルホド

結論

今日読んでみた論文は、「音を聞き分けれる脳力」と「言語を聞き分け、使いこなせる能力」の間についての研究ではありませんでしたが、音の刺激によって、記号(文字)と内容を結びつける能力は高まる可能性があることが分かりました。

このことから、音楽教育には読みという意味での言語習得にもよい影響がある希望が持てると思います♪

ここまでお読みくださってありがとうございました。

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